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屍鬼(日文版) 封面

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作者:小野不由美

分类:灵异推理

星级:

状态:完结

大小:767 KB

更新时间:2011-02-02

标签:日文 推理小说简介:

这是日文原版,青空文库形式,中文版论坛里已经有了

序章
[#ここで字下げ終わり]

村は死によって包囲されている。渓流に沿って拓けた村を、銛の穂先の三角形に封じ込めているのは樅の林だ。
樅の樹形は杉に似て端正、しかしながら幾分、ずんぐりとしている。杉が鋭利な刃物の先なら、樅は火影だ。灯心の先にふっくらとともった炎の輪郭。
直進の幹、心持ち斜め上方に向かってまっすぐに伸ばされた枝と樹冠が作る円錐形、葉は単純な針葉で、それが規則正しく並ぶのではなく|螺生《らせい》するところだけがわずかに複雑だ。――総じて淡々とした樹だと思う。
しかしながらこの樅の純林は、村を「死」として包囲している。それは村の境界線であり、こちらとあちらを隔てる稜線、林の中はすでに此岸ではなく彼岸だ。
彼岸から村を見下ろす者たちは、四十メートルにも達して巨躯[#《「躯」は旧字体。Unicode:U+8EC0]を表すくせに、その寿命は百五十年から二百年と短い。これは滅びる樹だ。植生が遷移する途中に現れ、|斃《たお》れることによって次の覇者に位を勧める。
その滅び行く樹は死者のために育てられ、村を取り巻く山肌にとどまっている。村は営々とこの樅材を利用して|卒塔婆《そとば》を作り、のちには棺を作った。村は生まれた当初から、死者のために祭具を作って成り立ってきた。
そして樅の林の中は、まさしく死者の国であり、樅はその墓標なのだった。村では今も死者を土葬にする。村人はそれぞれが山の一郭に墓所を持ち、そこに亡骸を埋葬する。墓石はない。そこが死者の住居であることを示す卒塔婆が立つきりだ。死者の|回向《えこう》の三十三回忌、それを過ぎると卒塔婆を倒して樅を植える。植えて忘れる。死者はすでに山の一部に還り、もはや人と接点を持たない。
死者のための滅びゆく樹、その純林は、まぎれもなく死者の国だ。三方を樅に囲まれて、村は死の中に孤絶している。
実際のところ、村は開かれた当初から、付近の山村の中で孤立している。そもそもが樅に目をつけた木地師の集団が移り住んで切り開いた村、血縁的にも地縁的にも村は周囲と脈絡を持たない。
そのせいだろう、すべては村の内部で完結しており、村は生きるに部外者の助けを借りない。外の力は、ちょうど村の南を貫いたバイパスのように、村を通り抜けていくだけだ。その道が村よりも大きな町へ、町よりもさらに大きな都市へと繋がっていても、それを降りて樅に包囲された山村に立ち寄る者もない以上、やはり村は隔絶されている。
しかしながら、不思議にこの山村は近年になっても過疎化とは比較的、無縁なままだった。人口は増えもしないかわりに、さして減ることもない。確かに村の外れ、最も辺鄙なあたりから少しずつ人家が減ってきてはいるのだが、そのぶん村の南に家が増える。老人が多いのは山村の常だが、老人たちが樅の林の中に歩み去っていくと、どこからともなく若者が戻ってくる。
この細く、しかしながら決して途絶えることのない営みを見ると、村はまるで|祠《ほこら》のようにも思える。どれほど荒れ果てても、何かの折、ふと思い出して立ち寄る種類の信仰のように、村の命脈は途切れることがない。
だとしたら、閑散とした山村のこの静けさは、指導に通じるものかもしれない。此岸から彼岸へと掛け渡された橋、その対岸、三方を死によって包囲されながら厳然として此岸で、世俗からは孤絶している。
そこで人は死に仕え、死者のために祈る。
――実際、村は生まれたときから、そのために存在した。

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